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『さらば、わが愛 覇王別姫』(シアター・ドラマシティ) [演劇・ミュージカル]

映画『さらば、わが愛/覇王別姫』は、激動の時代の中国を舞台にふたりの京劇俳優の愛憎を描いたもの。
香港と中国の合作で、公開は1993年。
カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)とゴールデン・グローブの外国語映画賞を受賞し、アジアではすでに人気のあった主演のレスリー・チャンの名を、世界にとどろかせたことでも知られる。
そんな作品が、蜷川幸雄演出で音楽劇として甦った。

haou.jpg遊郭の娼婦のもとに生まれた小豆子(シャオトウツー)は、男の子では遊郭に置いておけないと、京劇俳優を養成する科班に捨てられるように預けらてしまう。
「淫売の子」と仲間にいじめられる小豆子。
そんな彼をかばってくれたのは、年上の石頭(シートウ)だった。
そして石頭は、厳しい科班での稽古を支えてくれる存在でもあった。
やがて幼い小豆子は、石頭に思慕の念を抱くようになる。

成長した石頭と小豆子は、それぞれ段小楼(トアン・シャオロウ/遠藤憲一)と程蝶衣(チョン・テイエイ/東山紀之)と名乗るようになる。 『覇王別姫』の項羽(コウウ)とその愛妾・虞姫(グキ)を演じ、トップスターどうしとなる小楼と蝶衣。
ふたりを取り巻く環境がすっかり変わっても、蝶衣は変わらず小楼を慕い続けていた。
けれども小楼は、蝶衣の気持ちをよそに、娼婦の菊仙(チューシェン/木村佳乃)と結婚してしまう。
深く傷ついた蝶衣は、京劇界の重鎮・袁四卿(ユアン・スーチン/西岡徳馬)との関係を深めていくことに…。


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『身毒丸 復活』(シアター・ドラマシティ) [演劇・ミュージカル]

藤原竜也が、蜷川幸雄演出のもと『身毒丸』(脚本=寺山修二・岸田理生)で舞台デビューしたのが1997年。
2002年にも再演され、そこでファイナルとして封印…されるはずだった…。
ところが、アメリカのジョン・F・ケネディセンターからの招聘を受けたことがきっかけで、その封印は解かれることに。
『身毒丸 復活』として帰ってきた。

というわけで再々演となる藤原竜也版の『身毒丸』だけれど、過去2回の公演を私は見ていない。
なのに、藤原竜也の前に身毒丸を務めた武田真治版は、1995年に彩の国さいたま芸術劇場で見ている。
そのときの印象は、とにもかくにも白石加代子!
10年ちょっと前の出来事なのに、彼女のすごさに圧倒された記憶が鮮明に残っている。
そして、念願かなっての藤原竜也版はというと…。

身毒丸(しんとくまる/藤原竜也)は幼いころに亡くした母が忘れられず、ひと目会いたさに町をさまよい続ける日々を送っていた。
そんな身毒丸の父(品川徹)は、家というのは、父・母・子供がそろってはじめて成り立つものだという信念のもと、母を売る店で母を買うことにする。
父に連れられて店に出向いた身毒丸は、10人の母候補のなかのひとりの女から目が離せなくなる。
それは撫子(白石加代子)という元旅芸人の女だった。
身毒丸の父はその撫子を買い求めることに決め、彼女が拾い育てているせんさく(渡部駿太)とともに四人家族が出来上がる。
けれども、身毒丸は撫子を母と認めず、いつまでたっても懐こうとはしない。
そのうえ夫には、妻ではなく家族を構成する母の立場でしか見てもらえず、撫子にとって安住の地だったはずの家が彼女を苦しめるようになっていく…。


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『二月大歌舞伎』夜の部(歌舞伎座) [演劇・ミュージカル]

一時、職場が歌舞伎座からほど近い場所にあったので、時間があいたときにふらっと見られる一幕見で歌舞伎を楽しむのが好きだった。
いまは歌舞伎座とは離れているところに住んでいるから、なかなかそういうわけにもいかないのが寂しいところ。
それでも、なんらかのかたちで年に一度ぐらいは歌舞伎を見たいと思っている。
と言いつつ、歌舞伎座そのもので歌舞伎を見るのは久しぶり。
市川海老蔵の襲名披露以来かも…。

今回見た歌舞伎座の『二月大歌舞伎』は「初代松本白鸚二十七回忌追善」と銘打たれたもの。
その夜の部を見てきた。
白鸚さんが亡くなられたのが1982年(昭和57年)なので、私は残念ながら舞台上での姿は拝見したことがない。
唯一見ているのは、数年前にCATVで放送していた松本幸四郎(放送当時の1978年は市川染五郎)主演のNHK大河ドラマ『黄金の日々』に出演している白鸚さん。
画面の中の白鸚さんは響く低音の持ち主で、さすがに存在感のある方だった。


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『テイクフライト』(梅田芸術劇場) [演劇・ミュージカル]

2008年の初観劇は、ブロードウェイで活躍するクリエイターたちの作品を宮本亜門が訳・演出した新作ミュージカル『テイクフライト』。
2007年11月に東京で始まったこの公演の大楽を見てきた。

1900年の初め、アメリカの広大な砂漠で、ウィルバー(池田成志)とオーヴィル(橋本じゅん)のライト兄弟は、ハンググライダーを発明したリリエンタール(ラサール石井)の遺した数式をもとに、来る日も来る日も飛行機実験を重ねていた。
それから二十数年後、チャールズ・リンドバーグ(城田優)は、ニューヨークからパリへの大西洋単独無着陸飛行をめざし、ひとりで睡魔と戦いながら操縦桿を握っていた。
さらにその数年後、アメリア・エアハート(天海祐希)は、のちに夫となるパットナム(宮川浩)らの後押しを受け、女性として初の大西洋単独横断飛行のパイロットに志願する…。

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『キャバレー』(大阪厚生年金会館) [演劇・ミュージカル]

ミュージカル『キャバレー』がブロードウェイで初演されたのは1966年。
その後、映画化もされ、世界各国で繰り返し上演されている、傑作といわれているミュージカルのひとつ。
その『キャバレー』に、「大人計画」主宰の松尾スズキが日本語台本と演出に挑戦するという。
数年前に、まったく別の日本人キャスト、演出家はイギリス人というバージョンを見たことがあったので、松尾版の『キャバレー』も味わいたくて劇場へ出かけてみた。

ナチスが台頭し始めた1929年の大晦日、アメリカ人作家のクリフ(森山未來)は、小説執筆のためにドイツ・ベルリンにやってきた。
クリフは、妖しい魅力のMC(阿部サダヲ)と、ショーが人気のキャバレー「キット・カット・クラブ」で、歌姫サリー・ボウズ(松雪泰子)と出会い恋に落ちる。
すぐさま一緒に暮らし始めるふたり。
そのふたりが暮らす下宿の主人シュナイダー(秋山菜津子)は、長年ひとりで生きてきた女性。
そんな彼女も、ユダヤ人の果物商シュルツ(小松和重)と新しい人生を踏み出すことを考えていた。
ところが、ナチスはますます力を増大させ、その思想はドイツで暮らす人々の生活に暗い影を落とし始めていた。
クリフとサリー、シュナイダーにとっても…。


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『犯さん哉』(シアター・ドラマシティ) [演劇・ミュージカル]

初めて劇団☆新感線を見たのは『花の紅天女』という作品だった。
これはアニメやドラマ、そして舞台化もされた美内すずえのコミック『ガラスの仮面』のパロディ。
この舞台で主演を務めていた高田聖子を好きになり、新感線は要チェック劇団になった。
そして次に見た『直撃! ドラゴンロック~轟天』ですっかりはまり、さらにその次の『髑髏城の七人』(再演)で主演だった古田新太を堪能。
ここから古田新太は、私の中の好きな俳優リストに名前を連ねるようになる。
その当時の彼は今よりは細かったとはいえ、それでも「白ムチ」(色が白くてムチムチしているの意)と呼ばれていたし、顔はどう見てもイケメンじゃない。
それなのに、舞台上の彼はなぜか物語が進めば進むほどかっこよく見えてくる。
しかも色っぽい。
ここ数年、新感線を見始めた友達に「古田新太を見ていると目がハートになってくる」と言うと、「かっこいいとは思うけれど、目はハートにはならない」と賛同を得られない。
そりゃあ、私だって『木更津キャッツアイ』のオジーの古田じゃ、目はハートにならないよ。
でも、玉ころがしの捨之介(『髑髏城の七人』での役名)は本当にいい男だったんだって。

そんな私の好きな俳優の古田新太が、劇作家で演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と組んだ舞台が『犯さん哉』。
しかも座長。
でも組んだが相手KERAならば、これまでの彼の作風から考えるとかっこいい古田は望めそうもない。
私はかっこいい古田新太が好きなんだよぉ~。
悩んだ揚げ句、「座長」という言葉に惹かれてけっきょく見に行くことにした。

アラタ(古田新太)は、超がつく貧乏な暮らしを母(犬山イヌコ)とふたりで送る14歳。
学校ではイリエ君(入江雅人)たちにいじめられているけれど、あこがれのナカゴシさん(中越典子)に日記をほめられたのをきっかけに作家をめざしていた。
そんなある日、学校で事件が起き…。

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『ヴェニスの商人』(兵庫県立芸術文化センター) [演劇・ミュージカル]

日本で最初に翻訳されたシェイクスピア作品は『ヴェニスの商人』なのだそう。
そして、私が初めて手にしたシェイクスピア作品も、おぼろげな記憶をたどってみるとそれも『ヴェニスの商人』だった。
といっても小学生のときなので、子供向けの簡略版だけれど。

ヴェニスの裕福な商人アントーニオ(西岡徳馬)は、ある日、かわいがっている年下の友人バサーニオ(藤原竜也)に借金を申し込まれる。
バサーニオは、そのお金をベルモントに住むポーシャ(寺島しのぶ)という令嬢にプロポーズするための元手にしたいというのだ。
ところが、あいにくアントーニオの財産は海を渡る船の上。
それでもバサーニオを助けたいアントーニオは、自らが保証人となり、ユダヤ人である高利貸しのシャイロック(市村正親)に借金を申し込む。
そんなふたりにシャイロックが出した条件は、3か月後の期限までにお金を返せなければアントーニオの肉を1ポンド切り取ってよいことにするというものだった。
その条件をアントーニオは飲み、バサーニオはポーシャのもとに向かうのだが…。

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『犬顔家の一族の陰謀』(シアターBRAVA!) [演劇・ミュージカル]

今回の劇団☆新感線は、『レッツゴー! 忍法帖』以来、約3年半ぶりのネタもの芝居。
”劇団☆新感線2007年夏休みチャンピオン祭り”と銘打ち、そのフルタイトルは『犬顔家の一族の陰謀~金田真一耕之介の事件です。ノート』。
タイトルからして、劇団のやる気が感じられるものに(笑)。

犬顔家の一族の長・犬顔助佐衛門助介(橋本じゅん)がこの世を去った。
遺された太郎子(木野花)・次郎子(高田聖子)・三郎子(山本カナコ)ら娘たちそれぞれの家族の関心は、ずばり遺産。
ところが、助佐衛門助介の死後、弁護士の粟館(粟根まこと)によって公開された遺書には、財産は血縁者ではない野見山玉男(勝地涼)に譲ると記されていた。
ただし、玉男が相続するためには、犬顔家の血を引く娘を妻に選ばなければならないという条件が。
犬顔家に遺産争いが起こるのは明らか。
それを阻止してほしいと依頼され、探偵の金田真一耕助之介(宮藤官九郎)がやってきたが…。

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『藪原検行』(シアターBRAVA!) [演劇・ミュージカル]

劇団☆新感線の看板役者・古田新太が主演ということでチケットをとった舞台。
脚本は井上ひさし、演出は蜷川幸雄。
初演は、今から30年以上前の1973年とのこと。

時は江戸中期の享保、最初の舞台となるのは塩釜。
小悪党の魚売り七兵衛(段田安則)は、醜女だが気立てのよいお志保(梅沢昌代)を嫁にもらい一度は改心するのだが、お産の金欲しさに行きずりの座頭(六平直政)を殺してしまう。
悪行の因果か、生まれてきた男の子の目は見えなかった。
その子は、塩釜座頭・琴の市(山本龍二)に預けられ杉の市(古田新太)と名づけられる。
性格は七兵衛似、見た目はお志保似の杉の市は、手癖が悪く手も早く、師匠の女房・お市(田中裕子)にまで手をつける始末。
ある日、難癖をつけてきた佐久間検校(六平直政)と言い争ううち、検校の結解(けっけ=晴眼の秘書のこと/松田洋治)を刺してしまう。
塩釜にいられなくなった杉の市は、別れを告げに寄った母の家で誤って母を刺し、駆け落ちしようとお市と共謀して師匠も殺すのだがお市もまた返り討ちに遭うことに。
ひとりになってしまった杉の市は、師匠から盗んだ金を手に江戸へと向かう…。

こうしてあらすじを書いてみると、あまりに救いようのない内容だ。
しかも主人公の杉の市は、塩釜を離れたあとも、強盗殺人・借金の取り立て・師匠殺しの主犯と、さらなる悪事に手を染めていくのだから…。
それでも予想していたよりも陰湿な感じを受けなかったのは、杉の市に古田新太を据えたことが大きな理由だろう。
「悪いヤツなのだがどこか憎めない」「すごみもあるけれど愛敬もある」
己のことだけではなく、母を思い、盲人社会全体の地位向上にも目を向ける悪党。
杉の市はそんな人間味のある存在だった。

では、なぜそんな悪事を働くのか?
そこには彼が生きていた時代に大きな理由がある。

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『コンフィダント・絆』(シアターBRAVA!) [演劇・ミュージカル]

三谷幸喜の新作舞台は、1961年生まれの彼と同年代の4人の男優で一緒に何かやろうということで持ち上がった企画なのだとか。
そこに紅1点として加わったのが、彼らより10歳ほど年下の堀内敬子。

1888年、パリ。
舞台として登場するのは、お世辞にもきれいとは言えないアトリエ。
そのアトリエは4人の画家が共同で借りたものだった。
世に出ることを夢見て集うのは、ゴッホ(生瀬勝久)、ゴーギャン(寺脇康文)、スーラ(中井貴一)、シュフネッケル(相島一之)…。
彼らはそれぞれがいろいろな理由でお互いを必要とし、微妙なバランスで友人として成り立っていた。
そこへ、カフェで働くルイーズ(堀内敬子)が絵のモデルとして現れたことがきっかけとなり、その均衡が徐々に崩れていく。

周囲に迷惑をかけながらもじつは天賦の才能に恵まれている生瀬・ゴッホ、自信家でありながら繊細な面をもつ寺脇・ゴーギャン、育ちがよくスマートで内面を表に出さない中井・スーラ、面倒見がよくいい人だけれど絵描きとしては凡庸なシュフネッケル、そして明るくはっきりした物言いのルイーズ。
バラバラの個性が織り成す群像劇は三谷幸喜の得意とするところ。
5人がぶつかったりひとつになったりして、前半は笑い満載でドタバタぎみに進む。
ところが、それが徐々に色を変え、男どうしの嫉妬や優越感、芸術家どうしの嫉妬や優越感が前面に出てきて、ほろ苦い結末へと流れていく…。
前半の明るさがあっただけに、それはとても重く響くものだった。

5人の俳優たちはそれぞれに存在感があり、味もあり、五者五様の魅力で楽しませてくれた。
とくに紅一点の堀内敬子は、ポイントポイントでピアノの生演奏に合わせて美しい歌声を披露。
ストーリーテイラーの役目も務め、ルイーズとしても女優としても男性陣を大きく支えていた。
『12人の優しい日本人』では”オバサン”という感じだった彼女が、今回はキュートで嫌味がないまったくの別人に変身。
『12人~』のときも、かわいらしいオバサンではあったんだけれどね(笑)。

人間どうしが”絆”をもつのは、どんなかたちであれ難しいものだと、このごろとみに感じる。
それがライバルにもなりえてしまう芸術家どうしならば、難しさは倍増するはず。
この舞台のタイトルになっている”コンフィダント”というのは、「心許せる相手」という意味なのだそう。
苦みの残る内容だけれど、見終わったあとに空虚さは残らなかった。
そこが三谷幸喜のうまさであり、こだわりなのだろう。


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