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『テイクフライト』(梅田芸術劇場) [演劇・ミュージカル]

2008年の初観劇は、ブロードウェイで活躍するクリエイターたちの作品を宮本亜門が訳・演出した新作ミュージカル『テイクフライト』。
2007年11月に東京で始まったこの公演の大楽を見てきた。

1900年の初め、アメリカの広大な砂漠で、ウィルバー(池田成志)とオーヴィル(橋本じゅん)のライト兄弟は、ハンググライダーを発明したリリエンタール(ラサール石井)の遺した数式をもとに、来る日も来る日も飛行機実験を重ねていた。
それから二十数年後、チャールズ・リンドバーグ(城田優)は、ニューヨークからパリへの大西洋単独無着陸飛行をめざし、ひとりで睡魔と戦いながら操縦桿を握っていた。
さらにその数年後、アメリア・エアハート(天海祐希)は、のちに夫となるパットナム(宮川浩)らの後押しを受け、女性として初の大西洋単独横断飛行のパイロットに志願する…。

大空に魅せられた3組の実在の人物を描いたミュージカル。
3組の物語が時空を越えて並べられ、それを彼らの夢の”祖”ともいえるリリエンタール役のラサール石井が狂言回しとしてつなぎながらストーリーが進んでいく。

台詞よりも歌のほうが多いんじゃないかと感じられる、つくりとしてはミュージカルらしいミュージカルを久しぶりに見た気がする。
それなのにメインキャストに歌える人が少ない…。
しかも音の取りにくそうな難しい楽曲が多い…。
アンサンブルにはよくミュージカルで名前を見かける俳優さんが何人かいたので、大合唱などは迫力があっただけに残念。
そんななかでも、飛行家の妻を思って歌う宮川浩のソロはせつなくぐっと来た。

天海祐希は宝塚歌劇のトップだった人だけあって、華やかでかっこよくて背が高い!
自分の夢を生きるアメリアは彼女にぴったりだった。
そんな天海祐希よりさらに背が高かったのが城田優。
彼が大きいのはわかっていたのだけれど、本当に大きかった。
城田優は演技も歌も粗削りではあるけれど、リンドバーグの若さと夢を追うまっすぐさがあって好印象。
まだまだ伸びしろはありそうだし、数年後にまた舞台に立つ彼を見てみたいと思わせてくれた。

もったいないなぁと思ったのは、池田成志と橋本じゅんのライト兄弟の使い方。
ライト兄弟は飛行実験に明け暮れ、それが失敗の連続で、ある意味つらい日々なわけなのだけれど、それをふたりはどこかコミカルに演じ、物語の潤滑油的な存在でもあった。
2幕すぐのふたりのデュエットはとても楽しかったし…。
でも、このふたりを使うのならばもっと遊びがあっていいはず。
彼らが出てきて「ヤヤウケ」程度だなんてありえない!?
全般に平板な印象の舞台だっただけに、彼らのシーンしだいではもっとメリハリのある作品になったんじゃないかと思うととても惜しい。

大きな夢を成し遂げるには、それに見合う努力とある程度の代償が必要なことを教えてくれる作品。
願うだけでかなうほど人生は甘くない。
それでも、夢はあったほうがより人生を楽しめるはず。
たとえそれが人からは理解されないようなものだったり、些細なものだったりしても。


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コメント 5

あぁ

男前で美しい天海祐希さんを観るだけで
うっとりしちゃいそう。
理解してもらえない人には何を説明しても空しいですが、理解してくれる人が一人でも近くにいれば、救われる思いがします。
by あぁ (2008-01-12 19:37) 

みなさん、一生懸命にやってる事は理解できます。
by (2008-01-12 22:09) 

天海祐希・・・カッコイイですね(^O^)/
by (2008-01-13 15:16) 

理恵

うーん、池田さんと橋本さんが少し見せ場が少なかったのかなぁ〜?
もったいないね。

天海さんは、最初に見たのはたぶんオケピ(再演)。
コミカルな役も出来るんだと思った記憶あり。
by 理恵 (2008-01-14 17:14) 

mikanpanda

*あぁさん*
天海さんは、まさに「男前」という言葉がピッタリの方でした。(*^-^*)
みんなに理解してもらえなくてもいいけれど、誰にも理解されないのもやっぱり寂しいですよね。(^^;

nice!もありがとうございました。(^^)/

*とわさん*
一生懸命な姿ってすてきですよね。(^^)

nice!もありがとうございました。(^^)/

*犀川さん*
天海さん、かっこよかったです。(*^-^*)
私はチビなのでああいう大きな人には憧れます。

nice!もありがとうございました。(^^)/

*理恵さん*
成志さんとじゅんさんは出番はそれなりに多かったんですよ。
それなのに、別にこのふたりじゃなくてもって感じの使い方なんですよねぇ。
天海さんはドラマなんかを見ていてもコメディエンヌののセンスはありますよね。
成志&じゅんコンビもそうだけれど、もっとそういうところを生かしたほうが彼女の良さが生きたかもという舞台でした。
途中、記憶が途切れそうになったし…。(^^;

nice!もありがとうございました。(^^)/
by mikanpanda (2008-01-15 10:33) 

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