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『ANJIN~イングリッシュサムライ』(シアター・ドラマシティ) [演劇・ミュージカル]

2010年最初の観劇は、日英合作の舞台『ANJIN~イングリッシュサムライ』。
脚本・出演者とも日本人・イギリス人が入り交じり、それを演出するのはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのグレゴリー・ドーラン。
セリフも日本語あり、英語あり!

イギリス人船乗りウィリアム・アダムズ(オーウェン・ティール)は、オランダ船籍のリーフデ号に乗船中、嵐に見舞われ、命からがら日本に漂着する。
アダムスがたどり着いたのは日本の戦国時代。
天下統一をなし得た豊臣秀吉が没し、後継者の秀頼が幼いこともあり、群雄が割拠する一触即発の状態だった。
anjin.jpg
豊臣五大老のひとりだった徳川家康(市村正親)は、アダムズたちと引見し、船に積んであった武器をすべて買い取ることを決める。
その席には、通辞として日本人宣教師ドメニコ(藤原竜也)も同席していた。
大砲や鉄砲を手に入れいていた徳川家康は、関ヶ原の戦いで劇的な勝利を収め事実上の天下人へと駆け上る。
家康の信望を得たアダムスは帰国を許されるどころか、領地と「三浦按針」という日本名を与えられ、青い目の侍として日本で生きることを余儀なくされる。
しかし、アダムズの望郷の念は捨てがたいものだった…。


日英合作ということで、日本語字幕付きのこの作品。
私が見た大阪公演では、両袖脇に縦書き2行で日本語字幕が出るというかたちがとられていた。
日ごろからアメリカのドラマを字幕版で見ているので、字幕つきの舞台もそう違和感がないかと思ったのが甘かった。
席が一桁台後半のセンターブロックと、役者さんの表情も見られるふだんなら喜ぶべき場所があだになるとは…。
字幕を読んでいると顔を横に振るかたちになるので、役者さんがほとんど視界に入ってこない!
自分の語学力のなさを恨む事態に。

さらに、関ヶ原直前から家康が亡くなって秀忠・秀光の世になってキリシタン弾圧が始まったあたりまでを描いているので、展開がかなり忙しい。
時代の流れを描きつつ、カトリックとプロテスタントの攻防、アダムズ=按針の望郷の念、宣教師であり北条の末裔でもあるドメニコの葛藤、平安の世を守るために非情にならざるを得ない家康の懊悩などなど盛りだくさんの内容。
そのため舞台転換がとにかく多い。
幸い歴史的背景に関してはそこそこ知識があったので、自分自身で補完しながら見ることができたけれど、日本史に興味のない人には流れについていくのが大変だったはず。

流れが分断される中でも圧巻だったのは市村正親。
彼が徳川家康役と知ったときは、(いい意味で)「人たらし」のイメージを持つ市村正親ならば豊臣秀吉のほうが合うんじゃないかと思った。
でも、それは大間違い。
すごい役者は何をやらしてもすごいのだ。
これだけでもこの舞台を見たかいがあったというもの。
それから、通辞という役柄上、セリフの半分近くが英語だった藤原竜也には敢闘賞を。

日英の役者ががっぷり組んだ舞台ということでは、とても意味のある作品。
役者もそろっていたし…。
それだけにもう少し脚本が整理されていたらと思わずにはいられない。

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あぁ

あ~納得です。徳川家康?が、そうだわ役者の力量ですね。
by あぁ (2010-02-19 14:45) 

pica

字幕付きの舞台は一度も観たことないですね。
前から、どうやって字幕を出すのか謎だったけど
イメージできました。
NYで「美女と野獣」のミュージカルを観たことがあって
言葉のわからない私は半分寝てました(^_^;)
前の人の座高が高くて、舞台がだぶ隠れたことも
手伝って(笑
by pica (2010-02-20 00:48) 

mikanpanda

*あぁさん*
ですよねー。
市村正親で徳川家康をイメージしにくいですよね。
イギリスの俳優さんはトニー賞を受賞したことのある方らしいのだけれど、市村さんとは役者の格が違うなぁと思いました。

nice!もありがとうございました。(^^)/

*picaさん*
私も本格的な字幕付きは初めてだったんですよ!
ただ本格的と言っても全編英語じゃないので、ずっと字幕とにらめっこではないのでまだ見やすいほうだと思うんですけどね。
内容が盛りだくさんすぎたのもあって、集中しきれませんでした。
今回の舞台に限って言えば、もう少し後ろの席ならば字幕と役者さんが一緒に目に入って見やすかったかなとは思います。
前に座高が高い人は悲劇ですよねー。
私も経験あります。
このときは、少しでも見えるようにと右に寄ったり左に寄ったりしていたので、落ち着かずにやっぱり集中できませんでした。(^0^;)

nice!もありがとうございました。
by mikanpanda (2010-02-23 18:54) 

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