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『五右衛門ロック』(大阪厚生年金会館) [演劇・ミュージカル]

石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ

この辞世の句で有名な石川五右衛門は、架空の人物と思いがちだけれどじつは実在の盗賊。
とはいっても、はっきりしているのは安土桃山時代に徒党を組んで盗みを働き、そのかどにより京都で処刑されたということだけで、素姓などは諸説あるらしい。

私のなかの石川五右衛門といえば、まずは『ルパン三世』の石川五ェ門(笑)。
(子孫だけれど)
あとは、NHKの大河ドラマ『黄金の日々』の根津甚八演じる石川五右衛門。
この五右衛門がとにかくかっこよくて、CSでの放送を、五右衛門の最後と、ドラマの最終話だけをDVDに焼いて残しているほど。
大河ドラマは長いので見るのが大変だけれど、CSで放送があったらまた見るな、きっと。

豊臣秀吉の寝所に忍び込んだ、天下の大泥棒・石川五右衛門(古田新太)は、岩倉左門字(江口洋介)ら役人の手でお縄になり、京都・三条川原で釜茹での刑に処される。
そんな五右衛門の葬式を仕切っていたのが謎の美女・真砂のお竜(松雪泰子)。
じつはこの葬式はまやかしで、お竜たちの助けによって五右衛門はまんまと生きながらえていたのだった。

生き延びた五右衛門を待ち受けていたのは、いかにもうさんくさい南蛮人ペドロ・モッカ(川平慈英)とアビラ・リマーニャ(右近健一)。
このふたりが五右衛門救出作戦の出資者で、お竜と組み、助けた見返りにある宝を盗み出してほしいと言うのだ。
goemonrock.jpg その宝というのが、南海の孤島・タタラ島に眠る神秘の石”月生石”(げっしょうせき)。
五右衛門は行きがかり上、一味とともにタタラ島をめざし船で出発する。

五右衛門たちがめざすタタラ島は、絶対的な王として君臨するクガイ(北大路欣也)に支配されていた。
そのクガイを、彼を憎むカルマ王子(森山未來)を押し立てて、バラバ国からボノー将軍(橋本じゅん)が妻・シュザク(濱田マリ)ともに攻めてきたから小さな島は大混乱。
敵味方入り乱れての戦いが始まる。

果たして五右衛門は、月生石を盗み出し、無事に島を脱出することができるのか…!?


今回の劇団☆新感線は、ステージ上でバンドの生演奏があるまず音楽ありきの”Rシリーズ”のエクストラ版。
そのため、主要キャストはみなソロやデュエットがある。
そしてタイトルは五右衛門だけれど、中身は新感線ふうの『ルパン三世』。
五右衛門→ルパン、お竜→峰富士子、左門字→銭形警部と置き換えるととてもわかりやすい。

古田新太は松雪泰子と並ぶと、まさに美女と野獣!
さらに江口洋介と並ぶと、同じ40代なのにどうしてこうもルックスが違うのかと…。
それでも、いい男に見える。
響く声が二枚目だし、殺陣のみごとさは言葉ではもはや言い表せないほど。
多少メタボでも、この際、目はつぶろう。

松雪泰子は美女オーラ全開!
高田聖子はメインの出番は後半だけだったけれど、今回は彼女のキレのある殺陣が見られたので満足。
女優さんであれだけ”魅せる”動きができる人はそういない(というか知らない)。
松雪泰子とのお色気歌合戦もぜいたくな演出だった。
橋本じゅん&濱田マリのちっちゃい夫婦は、敵役なのにちっとも憎めず、逆に「ずっと仲良くね」と思ってしまうほどお似合いのおもろい夫婦。
そして、ペアといえば川平慈英&右近健一の外国人ふたりの鬱陶しさは最強!
しかも鬱陶しいだけでなく、このペアは歌もすごい。
さらに慈英は森山未來とのタップダンス競演など、ミュージカル俳優の面目を躍如。
森山未來は前回見たときよりも歌も殺陣も腕を上げていてびっくり。
大人たちは変わらぬ味でもいいのだけれど、若者は(表現ババくさい?)こうでなくちゃ。
江口洋介は、濃~いメンツのなかでひとり一本気なさわやかキャラ。
一服の清涼剤として孤軍奮闘。

最後に控えしは、北大路欣也さま。
けっして大きな方ではないのに、あのオーラはなんなのだろう!?
台詞の説得力もすごいし、刀を持てば文字どおり付け焼き刃ではないので華がある。
北大路さまが出てくると舞台がぴしっと引き締まり、その存在感は別格で神々しいほど。
彼だけは最後まで王道を崩さなかったのは、新感線側の敬意の表れだったのかも。

欲にくらんだ人の愚かさや、親子の絆などのテーマを織り込みつつ、ギャグと音楽と立ち回りで一気に見せる3時間超。
バスドラをお腹に響かせながら豪華なキャストを楽しむ、まさにロックな夏祭り!
タグ:演劇
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pica

私も『ルパン三世』の石川五ェ門が真っ先に浮かぶ(笑

古田新太の存在感ってすごいですよね。
悔しいけど、私の大好きな生瀬勝久と共演したとき
完全に生瀬が負けてました。

江口洋介は「12人のやさしい日本人」で、意外に
舞台をこなせるんだ、と思ったことが。
by pica (2008-08-28 23:33) 

理恵

観に行かれたのですね。
やっぱいいよねー。>新感線舞台

今回の客演はほんと芸達者でよかったぁ。
(その分、まこりんは存在が薄くなりますが;)

江口くん、何回か舞台を観たけど……今回はホントに
『爽やかなギター侍』(ぷっ)

とりあえず、まこりんは11月の昭和島ウォーカーのチケットをゲット!
あと、東京は1月の『冬の絵空』チケットが入手出来るか……
松尾貴史バージョン東京少ないしなぁ;


by 理恵 (2008-08-29 10:01) 

ねこかど

やはり見に行ってらしたんですね!私も臨月じゃなかったら絶対チケット取ってましたよ〜。お話もキャストもすごく楽しそうだったから。
DVDでも出ないかなぁ〜、それかNHKの深夜あたりでやってくれないか!?mikanpandaさんのレビュー見たらますます見たくなりました。

そうそう、新生児が泣いてる時の顔って、すごく古田新太に似てるなぁ、って入院中に思いました。もちろんぽん太も新太っぽい顔して泣きますよ・・・
by ねこかど (2008-08-29 21:17) 

mikanpanda

*picaさん*
生瀬勝久は私も好きです。
いい役者さんだと思います。

『12人の優しい日本人』は私も見ました。
そのときは、江口洋介の登場シーンの立ち姿がかっこよかったのが印象に残っています。
ドラマで主演を張るような人って、醸し出す雰囲気が違うんだなぁ~と。

nice!もありがとうございました。(^^)/

*理恵さん*
あんまりにも楽しかったので、もう一度見たかった~。

粟根さんの感想、省いてごめんね。(^^;
彼は台詞も殺陣もうまいいい役者さんなんですけどね~。
あれだけゲストが豪華だと、なかなかね…。
古田新太だって、タイトルロールのわりに出番少なかったし。

江口洋介って、昔は歌ってましたよね。
歌声を聞くまですっかり忘れていました。
ほんと、さわやかなギター侍(笑)。

『昭和島ウォーカー』はチケットゲットおめでとーございます。
東京はグローブ座でしたっけ?
『冬の絵空』は、生瀬・じゅん・粟根とおなじみのメンツが出るので迷ったのだけれど、こっちでの公演は、古田新太俳優生活25周年記念公演その1の『リチャード三世』と日程がかぶるので涙を飲むことにしました。
チケットとれるといいですね~。

nice!もありがとうございました。(^^)/

*ねこかどさん*
すっごい楽しかったですよォ~。
エンターテインメントに徹しているので肩肘張らずに見れるし。(^^)
DVDはかならず出ると思います。
ただ、レンタルはあんまりやっていなかったような…。
NHKとかで放送があったらいいですね!
私もまた見たいです。

赤ちゃんが古田新太に似ているのって、それって…微妙に褒め言葉じゃないような…。(^▽^;;

nice!もありがとうございました。(^^)/

*アーメン金太郎さん*
nice!をありがとうございました。(^^)/



by mikanpanda (2008-08-30 23:21) 

☆ ぴか姉 ☆

今はレッズの遠征が主になってしまったので、
最近はめっきり足を運ばなくなってしまったのですが、
数年前にはよく観に行ってましたよ~。
☆新感線の公演は掛け値なしに楽しめるので好きです!
生瀬勝久って、どうも最近、サラリーマンNEOの
イメージが強くって・・・・(^^;)
古田新太もプチメタボでも、やっぱり十分凄い役者さんだと
思いますぅ。

by ☆ ぴか姉 ☆ (2008-09-03 15:01) 

mikanpanda

*ぴか姉さん*
ぴか姉さんクラスの気合の入ったレッズサポだと、時間もお金も、なかなかほかには回しにくいと思います。
そういう私も、観劇・観戦(参戦?)ビンボーですが。(^^;

新感線はエンターテインメントに徹底しているので、楽しいですよね。(^^)

『サラーリマンNEO』はなんだかクセになる番組ですよね。
夜11時からとはいえ、NHKが地上波であんな番組を作ってしまうなんて…!

古田新太は、最近、映像関係の仕事では、すっかり体形を生かした役が多くて。(^▽^;;
30代のころは、もうちょっと痩せていたのになぁ。

nice!もありがとうございました。(^^)/

by mikanpanda (2008-09-04 20:51) 

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