『49日後…』（シアター・ドラマシティ）

池田成志と古田新太が企画する舞台の３作目『49日後…』の大楽を見てきた。
１作目は三谷幸喜脚本の『ヴァンプショウ』（1992年）、２作目は宮藤官九郎脚本の『鈍獣』（2004年）と続いた今回の３作目の脚本を担当するのは、関西の劇団「デス電所」主宰・竹内佑。
最近の小劇団にはすっかり疎くなってしまっているので、デス電所の予備知識はまったくなし…(苦笑)。
さらに、『鈍獣』は見ているけれど、『ヴァンプショウ』のほうは未見。
見てみたかったなぁ、1992年の古田新太。

死亡現場の特殊清掃、家財整理、遺族への配送、供養までのすべてを請け負う”浄め”のプロ集団・オーワコーポレーション。
社長の川口（池田成志）、社長と同級生の大和田（古田新太）、アルバイトの相沢（八嶋智人）、そして入社間もない中西（松重豊）、彼ら４人が今回やってきたのは、ひとり暮らしの老女が自殺した現場。
立ち会うのは、依頼主の代理を名乗る葬儀社の女・能瀬（小田茜）。
雑然としていて異様な雰囲気を放つ室内にはおよそミスマッチな能天気な４人。
彼らの作業はなかなかはかどらず、苛立ちを隠せない能瀬。
そんな彼女も、単なる代理人としてはどうも様子がおかしく…。

ホラーっぽい感じのなかにグロと笑いをちりばめて物語が進むところは、前作の『鈍獣』のテイストと同様。
中盤まではとくに、４人の強者男優がそれぞれの個性を生かし手を替え品を替え笑わせてくれる。
そんな野獣たちに混じって紅一点の美女・小田茜も、体当たりの演技で健闘。

中盤以降はミステリーの要素も混じり、意外な結末へと向かう。
ただこの結末へのもっていき方が、どうも唐突。
含みをもたせて終わらせるのはいいとして、展開にもうひとひねりあってもよかったかも。
「こう来たかっ！」と思わず膝を打つような伏線が欲しかった。

役者個々の力は楽しめたけれど、ひとつの作品としてはなんだか食い足りない。
キャスティングが豪華で、しかも好きな役者さんばかりと期待が高かっただけに、満足感が得られなかったのは残念。
ミステリーは読んだり見たりしてもホラー映画はまず見ないので好みのテイストとは違うのだけれど、『鈍獣』は岸田國士戯曲賞をとっただけあってよくできた作品だったのだとあらためて感じ入ってしまった。


『鈍獣』

タグ：演劇

コメント 5

面白そうなあらすじだけど、mikanpandaさん的には最後に物足りなさを感じたのですね・・・
小田茜さんってデビューはアイドルだったのに、ちょっと見ない時期をおいて舞台で活躍しているんですね！お人形さんのような風貌がとっても印象的です。
by ねこかど (2008-06-05 17:06) 

あっ！見てきたんですね。
そっかぁ〜
なんか分かりにくさはあったよね。
これはどうとるの？的な……

そうそう、『ヴァンプショウ』
わたしチケット取れたのに行かなかったんですよね。
その後、伊藤さんが亡くなって……ショックで、以来取れたら根性で行く（笑）
あと、ショックついでにDVD買っちゃった（苦笑）
by 理恵 (2008-06-05 18:20) 

＊ねこかどさん＊
笑えるシーンも多くてそれなりには楽しめたんですけどねぇ～。
このメンバーならもっと魅せられるはずだという気持ちが強くて。(^^;
小田茜さんはやっぱりお人形のようにきれいでしたよ～。
色も白いし。
国民的美少女出身はダテではありませんでした～。

nice!もありがとうございました。(^^)/

＊理恵さん＊
悪くはなかったけれど、『鈍獣』に比べると物足りなかったなぁ。

『ヴァンプショウ』は初演のＤＶＤがあれば私も買う！(笑)
伊藤俊人さんは、『君となら』（たぶん再演）で一度だけ舞台を見たことがあります。
ドラマでも印象的な役者さんでしたよね。
あまりに早い旅立ちでした。
それをチケットがあって見逃したとなると、ショックが大きいのもうなずけます。

nice!もありがとうございました。(^^)/
by mikanpanda (2008-06-07 18:26) 

「鈍獣」は観ました。
楽しめたけど苦手な部類のお話でした。
生瀬勝久が大好きなんです。
by pica (2008-06-07 23:01) 

＊picaさん＊
生瀬さんはいい役者ですよね～。
今回、彼がいなかったのと、池田成志が演出も兼ねていて出番が少なかったのも物足りなさの一因かも。

『鈍獣』は、私も苦手な部類です。
でも楽しめたということは、完成度が高かったんでしょうね。
『49日後』も『鈍獣』も私が見たのは大楽だったので、そういう意味では同じ土俵だったから、つい比較しちゃいます。(^^ゞ
by mikanpanda (2008-06-08 13:51)