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『髑髏城の七人』(梅田芸術劇場) [演劇・ミュージカル]

1990年の初演以来、2011年版で5回目の上演となった劇団☆新感線の『髑髏城の七人』。
劇団の看板俳優・古田新太の当たり役ともいえる主人公の捨之助を、今回演じることになったのは小栗旬。
ほかのキャストもぐぐっと若返った新生・髑髏城=ワカドクロ。
私自身は、再演(97年)・アカドクロ(2004年)・アオドクロ(2004年)と数えて、客席に座るのは4回目。
どんなふうに生まれ変わったのか、期待と不安をお供に大阪・茶屋町へ…。

織田信長が本能寺で明智光秀に討たれて8年。
天下の情勢は豊臣秀吉の手中に収まろうとしていた。
ところが、そうはさせじと秀吉に牙をむく集団が関東の人々を恐怖に陥れていた。
その名も、天魔王(森山未來)率いる関東髑髏党。

髑髏城の七人ある日、その髑髏党に襲われる村に、兵庫(勝地涼)率いる三五(河野まさと)ら関八州荒武者隊が通りかかる。
村人を守るべく応戦する荒武者隊。
そこへどこからともなく現れた捨之助(小栗旬)が加勢し、なんとか村の全滅だけは免れることができた。
生き残った娘たちを連れて捨之助と兵庫たちが向かったのは、極楽太夫(小池栄子)がいる関東一の色街・無界の里。
無界屋蘭兵衛(早乙女太一)が取り仕切る里は宿場も兼ねており、太夫たちのほかにも下働きをする娘(仲里依紗)や「やせ牢人」を名乗る狸穴二郎衛門(千葉哲也)など、さまざまな氏素性の人々が出入りする里でもあった。

しかし、髑髏党の魔の手は無界の里にも、容赦なく伸びてくるのだった…。


今回のワカドクロは、これまでの髑髏城と時代設定などの骨子は同じ。
大きく違うのは、捨之助と天魔王が一人二役だったのを、ふたりの役者(小栗&森山)が演じるようになったこと。
それに伴って天魔王の出番が増え、全体の立ち回りも増え迫力もアップ。
さらにキャストの若返りもあってか、捨之助と天魔王は織田信長の影武者だったという過去作の設定も変更になっていた。
(ネタバレは控えめにしたいので、どう変わったかは触れず)

これまでの天魔王のイメージは、『スターウォーズ』のダース・ベイダーを思わせる威圧感のある人物。
それを森山未來は、織田信長にとりつかれた狂気を前面にまとい、危うさのある天魔王として演じていた。
彼は新感線の作品は3回目の出演だし、若くても舞台人としての経験値はあるので、台詞回しでも立ち回りでも安心してみていられる。
無界屋蘭兵衛の早乙女太一は新感線は2回目。
所作の美しさ・立ち回りの美しさはやっぱり見惚れる。
とくに天満王との一騎打ちはおみごと!
ただ、早乙女太一は台詞回しに課題あり。
抑えた話し方をすると、声がくぐもってしまい聞き取りづらい…。
でもそうはいってもまだ19歳。
伸びしろがあったほうが今後の楽しみが増えるというもの(笑)。

捨之助を演じた小栗旬は初めての新感線。
”いのうえ歌舞伎”を知り尽くした古田新太と、本物の歌舞伎役者の市川染五郎の演じた役を、ひとり分とはいえ演じるのだから大変だったと思う。
歌舞伎的見せ方には物足りないところがあるのは仕方ないとして、とにかく華がある。
立ち姿がかっこいい。
台詞も聞きやすい。
これまでの捨之助よりも人間味があって、捨之助の新しい魅力を教えてもらえた。
本来は物語の見せ場である百人切りでは、刀を落としたり、後半はペースダウンしたりと、魅せられるというよりは応援する気持ちになってしまったのは惜しい点ではあるけれど、回を重ねていけばペース配分もつかめ、また変わってくるかも。

捨之助と一緒に戦う兵庫を演じた勝地涼は、新感線は3回目。
過去2回が立ち回りがなかったので、その鬱憤を晴らすように今回は彼も動く、動く。
一本気で、ちょっと単細胞な男を熱演。
あの声の出し方でノドを潰さないか心配ではあるけれど、最後まで駆け抜けてほしい。
オーディションで選ばれた荒武者隊の皆さんも、見せ場ではウルッとさせてくれたし、結束力もあり。

劇団のメンバーがメインとして出てこないせいか、三五役の河野まさとの水を得た魚のような手のひら返しっぷりがやけに印象に残ったのは気のせい?(苦笑)
同じく劇団メンバーの粟根まことが出てくると、なんだか安心だし。

女性陣は、新感線初登場だった小池栄子と仲里依紗。
小池栄子は気っぷのいい太夫で、彼女に合っていたと思う。
立ち回りも、ちゃんと腰が入っていて、踊りができる人は違うのだと再認識。
仲里依紗が演じた紗霧は、これまでのイメージに沿っていて初舞台でも堂々とした演技。

劇団メンバーの村木よし子と中谷さとみの遊女の会話に癒され(?)、初の女性・贋鉄斎を担った高田聖子は彼女が出てくると、もうそこは「高田聖子ワールド」に変身。
高田聖子のシーンがいちばん拍手が多かったかも(私も精いっぱい拍手♪)。
見せ場がもっとあると思っていたので、それだけは心残り。

古田新太・橋本じゅんがメインを張る濃い・新感線に慣れているせいか、キャストが若くきれいなワカドクロは、正直言うと幕開けしばらく違和感を覚えた。
出だしは役者さんたちも硬かったし。
でも、終わってみれば、見てよかったワカドクロ!
若いキャスト陣なので、10月までの長い公演の間にさらなる進化も見せてくれるはず。
ただそれには完走が大前提。
大阪公演で、骨折のため早くも吉田メタルが降板。
(代役を立てず、彼が演じていた天魔七部衆が六部衆に変更となっていた)
あれだけ立ち回りがあれば怪我人のひとりやふたり出てもなんら不思議はないけれど、これ以上の怪我人は不要で願いたい。
あと、青山劇場に行きたいぞー!!

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mikanpanda

*hisaさん*
nice!をありがとうございました。(^^)/

by mikanpanda (2011-08-26 20:35) 

ko-cha

こんばんは。はじめまして。

私は今まで3回だけですが新感線を観に行きましたが、
(五右衛門ロックと蛮幽鬼、鋼鉄番長)
どれも面白かったです♪
by ko-cha (2011-09-22 23:29) 

mikanpanda

*ko-chaさん*

はじめまして~。
新感線の舞台は派手でパワフルでおもしろいですよね。(^o^)

nice!もありがとうございました。(^^)/
by mikanpanda (2011-09-27 20:39) 

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