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『じゃじゃ馬馴らし』(シアター・ドラマシティ) [演劇・ミュージカル]

蜷川幸雄が演出を手がける「彩の国シェイクスピア・シリーズ」第23弾は、シェイクスピア時代の形式を踏襲したオールメールで上演される喜劇『じゃじゃ馬馴らし』。
オールメールというのは、日本の歌舞伎のように、すべての役を男性だけが演じる舞台。
過去作品では初の女性役に挑戦する男優もいたわけだけれど、今回のオールメールのシェイクスピア作品には、歌舞伎界から市川亀治郎が満を持して登場!

北イタリアのパドヴァに、修学のためにやってきたルーセンショー(山本裕典)は、町の資産家が、妹娘の求婚者たちに「姉娘の嫁ぎ先が決まるまでは、結婚は許可できない」と断る現場にたまたま出くわす。
zyazyauma.jpg 素直で美しい妹・ビアンカ(月川悠貴)に対して、姉のキャタリーナ(市川亀治郎)はああ言えばこういう言う性格の、町では知らない人はいない”じゃじゃ馬”。
キャタリーナの結婚が条件という思わぬ難題に、弱り切るビアンカの求婚者たち。
それを尻目に、ルーセンショーは偽名でビアンカの家庭教師に名乗り出ることを思いつく。
彼もまた、ビアンカにひと目ぼれをしてしまったのだった。
一方、求婚者のひとりであるホーテンショー(横田英司)は、彼を訪ねてきたペトルーチオ(筧利夫)にキャタリーナとの結婚をすすめようとするのだが…。


シェイクスピア作品は、今回と同じく喜劇『十二夜』の歌舞伎版を経験済みの市川亀治郎。
着慣れた着物からドレス姿に変身した彼(彼女?)に興味津々。
原作では、キャタリーナ&ビアンカは美人姉妹という触れ込み。
そして、実際は…?

うーん、シェイクスピアで女形を演じるために生まれてきたような月川悠貴と並ぶと、美人姉妹という看板には偽りあり(苦笑)というのが、正直な第一印象。
それがどんどん美しく見えてくるのだから、やっぱり亀治郎はただ者じゃない。
全体にドタバタの演出になっているので、上演中は終始笑いっぱなし。
ぎゃんぎゃんうるさい前半のキャタリーナは、ときおり歌舞伎チックな演技も取り入れ笑いに拍車をかける。
(ドレスを着て見得を切るのには大喝采!)
それが終盤の長台詞では、後光が射すほどの美しさ。
このときばかりは、沸きに沸いていた会場が、水を打ったように静まりかえるほど。
亀治郎の女形は所作や目線に品があるから、暴言を吐き、乱暴狼藉を働いたあとでも、最終的には「美人姉妹」に納得して劇場を出られるのだから恐れ入る(笑)。

その亀治郎に相対するのが、筧利夫のペトルーチオ。
ただでさえ修飾だらけで長いシェイクスピアの台詞を、立て板に鉄砲水のごとく喋る喋る。
それなのに一度もかむことはなかった。
しかもただ速いだけでなく、機関銃のように台詞を放っても、滑舌がいいからしっかり言葉が聞き取れる。
筧のプロの技術には脱帽!
亀治郎との最強タッグで舞台を大いに盛り上げていた。
そこへ、月川&山本裕典の見目麗しいカップルが花を添える。

内容は、極端な人間が繰り広げるドタバタなので、「それはないだろう」とツッコミどころがたくさん。
でも、見終わったあとの気持ちは晴れ晴れ。
カーテンコールで「もう一度見てもいいなぁ」と思っていたら、すっかり忘れていたけれど見たのは大楽。
何回目かのカーテンコールでは、演出家の蜷川幸雄も登壇。
蜷川作品は毎年何本か見ていても、演出家は舞台には出てこないので、ご本人のお姿はそうそう拝めないもの。
おかげでありがたさも倍増。
チケットを手放さなくて、本当によかった。
舞台から届いたパワーを大切に、日々を過ごすようにしなければ。


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あぁ

記事を読む前にポスターが目に入り、3人女性?と思いました。
どたばた劇こそ、度量を問われるのでしょうね。
by あぁ (2010-11-23 00:51) 

mikanpanda

*あぁさん*
このチラシを最初に見たとき、私は「あれ? 亀ちゃんは??」って思いました。(^0^;)
髪が長かったのでまったく気がつかず(笑)。
ドタバタで笑わせて、さらに納得させるのって、難易度高いと思います。
『じゃじゃ馬馴らし』、どこかで放送してくれないかなぁ~。
もう一度見たい!

nice!もありがとうございました。(^^)/


by mikanpanda (2010-11-25 23:19) 

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