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『蛮幽鬼』(梅田芸術劇場) [演劇・ミュージカル]

劇団☆新感線の2009年秋公演は、”INOUEKABUKI SHOCHIKU-Mix”と銘打つ、松竹との6回目のコラボ。
過去5回は歌舞伎役者・市川染五郎が出演していたわけだけれど、今回は歌舞伎座に立つ歌舞伎役者なしの、初”SHOCHIKU-Mix”に。

banyuki.jpg極東の島国・鳳来(ほうらい)の青年・伊達土門(だてのどもん/上川隆也)は、”蛮教”を学ぶために、許嫁の美古都(稲森いずみ)を残し、3人の仲間とともに大国・果拿(がだ)に留学中の身。
一定の成果を挙げいよいよ帰国の途に就こうとしたとき、事件が起こる。
留学仲間のひとりが殺されてしまうのだ。
言われなき罪で囚われてしまう土門。
土門に濡れ衣を着せたのは、あろうことか留学仲間の音津空麿(おとつのからまろ/粟根誠)・稀浮名(きのうきな/山内圭哉)だった。

10年後、サジを名乗る謎めいた男(堺雅人)の助けを借り、土門は辛くも脱獄に成功する。
同じように囚われの身だったペナン(高田聖子)を伴い、めざすは故郷・鳳来。
自分を陥れた人間への復讐心を胸に…。

恨みが恨みを呼ぶ復讐劇。
アレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』(『巌窟王』)がモチーフとなっている。

安心の屋台骨・上川隆也が復讐鬼を演じ、ここ数年ですっかりメジャーになった堺雅人が微笑みの殺人マシンと化す。
こう書いてしまうとずいぶんとどろどろした舞台のようだけれど、新感線お得意のギャグももちろんあり。
コール&レスポンスで客席を盛り上げる橋本じゅんをはじめ、高田聖子・村木よし子・粟根誠・右近健一ら劇団メンバーの特異なキャラクターも健在。

今回は歌場面はほとんどなく、その代わり殺陣場面がとても多い!
ところがこの殺陣はいくら舞台経験が豊富でも、一朝一夕にはこせない難度の高いもの。
その点、上川隆也は新感線の舞台に出るのは初めてではないし、経験もそれなりに持ち合わせているので、安定感のある立ち回り。
新感線初登場の堺雅人には、慣れないであろう立ち回りに苦労と努力の跡が。
それでも、「笑顔で喜怒哀楽すべてが表現できる」とも言われる堺雅人じゃないと、サジという役は成立しなかったはず。
というか、おそらく当て書きだろうから、サジを彼以外が演じるのは不可能と言ってもいいのかも。

殺陣で目を奪われたのは、同じく新感線初登場の早乙女太一。
舞踏風の彼の立ち回りは美しすぎ。
「流し目王子」などと言われ、女形の美しさに定評がある早乙女太一だけれど、彼のすごさはそれだけではなかった。
たしかに、女形として踊るシーンでは立っている後ろ姿からして「きれいどころ」で、背中から並外れたオーラを発散していた。
それにプラス見せる(魅せる)殺陣!
じつは今回、早乙女太一を見るのが楽しみのひとつでもあったのだけれど、予想以上に期待に応えてくれて大満足。
大衆演劇育ちで幼少から舞台に立っているとはいえ、10代であのクオリティはそうそう出せない。
さすがに台詞回しはまだ伸びしろがありそうだったので、それも合わせて今後の成長が楽しみなひとりに。

古田新太ファンなので彼がいないのは寂しかったけれど、それを含めても歴代新感線で好きな作品として上位に入れたい今回の『蛮幽鬼』。
ただ松竹がプロデュースに名を連ねているのに、残念ながら大阪公演の会場・梅田芸術劇場には舞台から客席後方までを突き抜ける花道がない。
その代わりとなっていたのが、舞台横を抜ける左右の花道(短い!)と客席の通路。
東京公演の会場・新橋演舞場はもちろん花道があるし、”KABUKI”を標榜する以上、大阪でも花道のある劇場のほうがよりその神髄を味わえたのではないだろうか。

復讐がテーマなのでベースに流れるのは重く暗い世界。
それでも、見終わったあとに満足感と活力が得られるのだから舞台っておもしろい。

nice!(4)  コメント(7) 

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コメント 7

pica

上川隆也に稲森いずみ、早乙女太一。
そして、堺雅人ぉ~~~~~っ!
キャストだけでゾクゾクですね(^_^)

新感線の舞台は一度しか観たことがないけど
とても楽しい集団だと思ってます。
やっぱりギャグはあるんですねv
by pica (2009-12-14 19:39) 

mikanpanda

*picaさん*
豪華キャストでしたよぉ~。
話が長くなるのではしょったけれど(^0^;)、稲森いずみはスタイルが良くてとてもきれいでした。
堺さんはさらにいい役者になっていましたよ♪

新感線は基本的にギャグありです。
たとえ今回のように「復讐」がテーマになっていても。
ただ、『リチャード三世』のときだけはシェイクスピアから逸脱しなかったのでギャグはなかったです。
それぐらいかなぁ。

nice!もありがとうございました。(^^)/
by mikanpanda (2009-12-14 22:32) 

mikanpanda

*あぁさん*
nice!をありがとうございました。(^^)/

by mikanpanda (2009-12-15 12:48) 

☆ ぴか姉 ☆

こんにちは。
最近、お芝居はご無沙汰なんですけど、
これ「巌窟王」がベースでしたか。知らなかった。
実はOVAになった「巌窟王」ていう作品が好きで
このモンテクリスト伯がメチャクチャ格好いいんですよぉ~。復讐劇ですが、SFチックで、セクシー(*´д`*)
すごく変わった映像なので、機会とお暇と興味があったら観て観てください。
早乙女太一は、メモっときます(^^;)
by ☆ ぴか姉 ☆ (2009-12-16 11:25) 

mikanpanda

*☆ ぴか姉 ☆さん*
おすすめの『巌窟王』はケーブルテレビでも放送されたことがあるみたいですね。
また放送してくれないかなぁ。
早乙女くんはNHKの大河ドラマに出ていたこともあるのですが、舞台で見たほうがより魅力的かも。
紅白で演歌歌手の後ろで踊っていたときは、すっごい色っぽかったけれど。(^0^;)

nice!もありがとうございました。(^^)/
by mikanpanda (2009-12-16 23:25) 

理恵

行かれたんですね~♪
じゅんさん、絶好調でしょ?(笑)
1回目は初日だったので、少し様子見だったけど
2回目行ったときは毎日やって練れてましたもの(ぷっ)

先日新感線の次回公演のチケット4月分をゲット
もう一度くらい行きたいけどなぁ…S席2回はきつい
by 理恵 (2009-12-18 00:25) 

mikanpanda

*理恵さん*
おぉ、お久しぶりです~。

じゅんさん、絶好調でした。
私が見たのはソワレのないマチネだったので、「今日は時間があるから何度でもやるぞー」と言っておりました。
”なんぼものもんじゃい”
いい言葉です(笑)。

次公演のチケゲットおめでとうございます!
私は大阪で見る予定なので、年が変わってからの申し込みです。
新感線はアドリブもあるから、本当は数回見たいところですよね。
でも、チケ代がねぇ…。(^◇^;)

nice!もありがとうございました。(^^)/
by mikanpanda (2009-12-19 23:06) 

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